私はこのブログでこれまでに何回も,「公務員批判の批判」を書いてきました。
これを「公務員擁護」と取る方もおられますが,私は決して,現在の公務員の状況を良しとしているわけではありません。公務員には批判されるべき点は多いと思いますが,批判する論調の多くが,共感できるものではないのです。
共感できない最大の理由は,労働者全体,ひいてはわが国全体にとって,公務員バッシングが強くなることは損失につながると思うからです。私利私欲のために既得権を守ろうとする,一部の「勝ち組」の思う壺だと思います。
ただし,ここでいう「公務員」とは,高級官僚,高級公務員ではない,労働組合に入れるような末端の公務員を指しています。
(高級官僚に対するバッシングでも行き過ぎと思うことはたまにありますが。タクシーでビールをもらうことくらい,別に問題ではないと思いますし。)
日本を動かしているのは,与党,高級官僚,高級公務員,また,さらに後ろで糸を引いている財界などであり,末端の公務員は単なる労働者です。
確かに,その労働条件は民間の多くと比べて恵まれている面もあり,それに甘えている公務員もある程度存在するのだと思います。
しかし,民間労働者の最低労働条件を規定する労働基準法に照らして,ぎりぎり合致している程度であり,大きく上回るものではないと思います。
つまり,目指すべき労働者の姿に比較的近いものではないでしょうか。
労働権の制約を受けており,民間よりも恵まれない部分もあります。
日本人は勤勉を美徳とします。これは良いことだと思います。しかし,先人が,戦乱の世を乗り越え,近代化を乗り越え,悲惨な敗戦を乗り越え,高度成長期を経て,やっとたどり着いた,一応「先進国」と呼ばれる今のわが国です。
庶民が,自らの生活に汲々としてジャングルに生きる野生動物のように暮らすのではなく,精神的にゆとりを持って文明社会の一員として果たすべき役割を果たすという意識を高く持って暮らすような,そんな国である資格はあるのではないかと思います。
勤勉さは,そのような働き方の中で発揮するべきではないでしょうか。
そのような働き方をするためには,しっかりとした労働条件の整備が前提となるでしょう。
公務員の労働条件は,そうした視点からは,決して必要以上に恵まれたものとは思えません。これを批判することは,より劣悪な民間の労働条件を正当化することになってしまいます。今,労働基準法に厳密に照らして,全く問題のない企業がどれほどあるでしょうか。
ただ,すべてが劣悪なわけではなく,一部には寡占や庶民の足下を見た商法などにより不当とも思われる条件の企業もあるようです。
そのような「勝ち組」企業を含めて,社会では「持てる者,取る者」が力を強める一方,「持たざる者,取られる者」はどんどん弱くなり,格差社会化が進行しています。
公務員も,「削減」を掲げて末端公務員の数を減らし,給料も減らし,高級官僚,高級公務員は末端にしわ寄せしながら自らの地位は手放そうとしていないでしょう。せいぜい,早めに天下りする程度でしょう。
全てが天下り先かどうかしりませんが,各省庁の所管法人は山ほどあります。
例えば,国交省道路局所管法人,厚労相健康局所管法人,農水省生産局所管法人,のようにわけの分からない団体も多く見られます。大阪府でも,所管公益法人は約900もあります。末端公務員の給料や働きぶりよりも,これらの方がよほど害が大きいのではないでしょうか。
政府や自治体としては,一部の高級官僚・公務員の高給を維持し,上記の法人のような天下り先を温存できれば,末端公務員を安く使い捨てられるのは望むところでしょう。
そして民間の経営者は,公務員の労働条件が低下すれば,自らの従業員の労働条件を切り下げるお墨付きをもらえたようなものです。
始めに書いたように,私も,末端公務員にも批判されるべき点は多々あると思います。
しかし,私や私の友人が,その家族が,そしてその子供達が,またその子供達が幸せに暮らすために今為すべき事として,公務員を責めることの優先順位はかなり低いと思いますし,批判すべき相手として優先順位の高い者達を利することにしかならないと思うのです。
私は技術系の人間ですので,せっかくこんなに科学技術が発展したのだから,社会の隅々の人までもっと心豊かに暮らして欲しいと思うのです。そうでないと働き甲斐がありませんから。
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