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2006年1月 7日 (土)

自衛隊の海外派遣は憲法を変えても不可能ではないか?

前々回の記事および前回の記事に続いて,憲法九条絡みでもうひとつ書いてみる。

憲法には,
「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
とある。

また,広辞苑には,「武力」とは,
「武勇の力。また,軍隊の力。兵力。」
とある。

自衛隊が平和維持活動で海外に派遣される場合,武器を帯びて派遣された隊員は,実際の活動内容が給水やインフラ整備などであっても,これは「兵力」であり,すなわち「武力」である。
そして,相手国政府から国内治安維持を目的とした要請がなければ,目的が平和維持であっても,これは「国際紛争」であろう。さらに,現在日本で国内の治安維持にあたっているのは警察を始めとする公安組織であり,治安維持のための派遣であれば,公安組織が対応するべきであろう。
「強い武力を持った相手への対応は,自衛隊の方が慣れている」というのであれば,必要な法律を整備して,形式的にでも自衛隊の人員と装備を一時的に警察などに編入した上で派遣すればよい。そうすれば,派遣されるのは「警察官」である。
平成16年の小泉首相の年頭の記者会見でも,小泉首相は,
アメリカ、イギリス始め国際社会も国連も、早くイラク人のイラク政府をつくろうと努力している。そういうことで、国連も国連の加盟国に対して、できるだけの支援をイラクにしてほしいと要請をしております。日本はその要請に応えて、自衛隊を派遣する場合にも武力行使はしないと、戦闘行為には参加しないという法律にのっとって、イラクの復興支援活動にどう当たるかということを検討した結果派遣を決めて、今、先遣隊が準備を進めております。
と述べており,イラク政府の要請でないことを認めている。つまりイラクの治安が不安定な状態は,自然災害でもなくアメリカが攻撃したためであり,国際紛争状態である。

こういった形での自衛隊の派遣は,明らかに違憲であろう。

自民党の新憲法草案でも,
「国際紛争を解決する手段としては、戦争その他の武力の行使又は武力による威嚇を永久に行わないこととする。」
と記されている。
すなわち,現在のイラクへの自衛隊派遣は,自民党の新憲法草案に照らしても違憲であろう。

自衛隊であろうと自衛軍であろうと,「武力」である限り,「平和憲法」を掲げる日本では,国際紛争に起因する平和維持活動への参加のための海外派遣は不可能であると考えるのだが,どうだろうか。

また,この意味でも,自衛隊は前回の記事に書いたように「公安組織」として位置付けるべきだと考える。
「公安組織」であって,正式に相手国政府の要請による派遣であれば,国家間の戦闘には手出しできないが,個人に対する暴力行為に対し,個人を守る活動は可能となる。被害者が軍人であっても,加害者が国家でなければ,それは背景に国際紛争があったとしても,現場においては単なる犯罪行為である。
そうすれば,「目の前でアメリカ兵が殺されるのを黙ってみているわけにはいかない。」,だから「集団的自衛権」が必要であるという考え方に対しても,「集団的自衛権」を認めなくても「公安活動」の一環として最小限の活動は可能であるといえるのではないだろうか。

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「日本は自衛戦争も戦力も一切放棄している。自衛隊は実力であって戦力ではない。」というのが憲法9条に関する日本政府の公式の見解です。 「え〜、ほんと?日本政府は『自衛隊は軍隊である』と認めているのではないの?」と思っている人は結構多いのではないでしょうか。私も最近はついつい「そうだったかな」と思ってしまいます。 政府は今でも『自衛隊は軍隊ではない』という立場なのです。これって案外多くの人にとって「目から鱗」的なんです�... [続きを読む]

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