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2007年9月12日 (水)

日本で懸命に働くフィリピン人がわが国に益をもたらすのは『一応確からしい』ことではないのか?

TBSのNews23の「マンデープラス」というコーナーで,昨日(9/10),「日本とフィリピン二つの国のはざまで…少女の思いは…」という企画が放映された。
その内容は,matsuiism さんのブログ heuristic ways の記事に詳しいが,概略は以下の通りである。

1990年に興行ビザでダンサーとして来日したフィリピン人女性(当時19歳)が,半年働いて1万円しか貰えず,そのままビザが切れた後も滞在し,フィリピン人男性との間に2人の女の子が生まれた。
父親は3年前に不法滞在で強制退去となり,母子3人は日本滞在を希望して裁判に訴えてきた。しかし,最高裁でも認められず,今年退去させられた。今の法律では,今後5年間は再入国できないそうである。
テレビで見る限りではあるが,母親は子供のために懸命に働き,14歳と8歳の娘も,利発そうでよい子供に育っているように見える。
娘たちは日本の生活しか知らず,下の子は保育士になるのが夢で,上の子は早大人びて,「日本に帰りたいとは思うし,勉強も頑張りたいけど,5年後には世界がいろいろ変わってるだろう。日本語は喋れるし,英語もタガログ語もペラペラだったらすごいな」と将来を語る。

自分は,基本的に「悪法も法なり」の立場である。不法なものは不法であり,ひとつ許したらきりがないと思う。

しかし,である。
年金問題で,保険料の納付記録がなくても,本人の説明が「明らかに不合理ではなく,一応確からしいこと」であれば,給付を認めることとなっている。
こんないい加減な取り扱いこそが,「明らかに不合理」であると,自分は思う。
しかし,現実にはそのようなことがまかり通っている。

そこまで柔軟な姿勢が政府にあるのであれば,件のフィリピン人家族についても,もっと柔軟な取り扱いができるのではないだろうか。
母親はすでに真面目に働いているし,その子供達も,将来,優秀な社会人になることは有望である。この人たちが日本に住むことを許し,日本の社会人として働いて納税してもらうことは,十分に日本の国益に適うであろうという判断は,「明らかに不合理ではなく,一応確からしいこと」以上ではないだろうか。

先にも書いたとおり,自分は「悪法も法なり」という立場,つまり,社会システムはシンプルで一貫したものであるべきだと思ってきた。
しかし,社会が成熟すれば,ある程度臨機応変に対応する複雑なシステムでも良いのではないかとも思い始めた。

件のフィリピン人家族は,結局,フィリピン人女性を低賃金で働かせる風俗業界,そこに喜んでカネをつぎ込む日本人男性,その状態を放置してきた日本の行政,これら日本社会の被害者でもある。年金の保険料を払ったのに記録が消えてしまった人たちと,共通するものがあるのではないだろうか。

年金問題で,あのような柔軟な対応を取れるのであれば,不法滞在外国人に関しても,ケース毎に柔軟に対応することができるのではないかと思うのだが,どうだろうか。

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コメント

 はじめまして。言及ありがとうございます。
 法的な問題について言うと、日本は「子どもの権利条約」を批准していますし、現在の入管法第50条でも、法務大臣の裁量によって個々の事案ごとに在留特別許可を認めることが可能です。たとえ両親がオーバーステイの外国人であっても、日本に長年生活基盤を築き、日本で子供たちが生まれ育った家族の場合は、現にすでに在留特別許可を与えているケースもあるのですから、その基準を明確にすべきだと思います。
 このフィリピン人家族が「これら日本社会の被害者でもある」こと、そして彼女らに滞在許可を与えることは「十分に日本の国益に適うであろう」という判断は同感ですね。日本の「国民」が忘れかけている向学心や愛国心は彼女たちにこそあると私は感じました。
 日本政府はフィリピン政府との協定によってフィリピン人の看護師・介護士の受け入れを推進しようとしていますが、はたして外国人労働者の家族や生活の問題まできちんと長期的に考え、受け入れ態勢を準備しているのかどうか疑問です。

投稿: 松井(matsuiism) | 2007年9月12日 (水) 09時38分

松井 さん,コメントありがとうございます。
私もテレビは見ましたが,内容の要約は松井さんの文章をかなり参考にさせていただきました。ありがとうございました。
そうですか,一応ある程度の法令の整備はされているのですね。
「基準の明確化」というとまたいろいろと難しくなりそうではありますが,少なくとも,そのような法令が存在する意義を十分に大切にするように取り扱うべきだと思います。
雑駁な表現ではありますが,「人にやさしい」国でありたいと思います。

投稿: WontBeLong | 2007年9月12日 (水) 23時08分

「アメリカン・ドリーム」という言葉はあっても「ジャパニーズ・ドリーム」という言葉を聞いたことがありません。
それだけ日本という国は、夢のない国なのでしょうか。
話は少し変わりますが、小生の同業者らも中国人研修生に対して不当就労を強制していました。また、15歳以下の未就学外国人の子供たちにも不当就労させているところがありました。
アジアの安い労働力に対抗するための策だそうですが、在日外国人に対して冷遇するのが日本という国なのでしょうか ?

投稿: あらま | 2007年9月13日 (木) 12時06分

あらま さん,コメントありがとうございます。
話が少しそれるかも知れませんが,これらのことの元凶は,ずる賢く立ち回った人間がトクをするような面が多い社会だからではないかと思います。
真面目に頑張った人が報いられるような世の中にしていく必要があるのではないかと思います。
外国人を不当に安く働かせることはできず,また,外国人も不法行為で儲けるようなことはできず,その代わり外国人でも,きちんと真面目に働けば相応に報いられるような,と簡単に言うようにはいかないのもわかりますが,やはりそのような努力が必要だと思います。

投稿: WontBeLong | 2007年9月13日 (木) 22時23分

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