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2008年6月23日 (月)

[番外]私が末端公務員に肩入れ(?)する理由

私はこのブログでこれまでに何回も,「公務員批判の批判」を書いてきました。
これを「公務員擁護」と取る方もおられますが,私は決して,現在の公務員の状況を良しとしているわけではありません。公務員には批判されるべき点は多いと思いますが,批判する論調の多くが,共感できるものではないのです。

共感できない最大の理由は,労働者全体,ひいてはわが国全体にとって,公務員バッシングが強くなることは損失につながると思うからです。私利私欲のために既得権を守ろうとする,一部の「勝ち組」の思う壺だと思います。

ただし,ここでいう「公務員」とは,高級官僚,高級公務員ではない,労働組合に入れるような末端の公務員を指しています。
(高級官僚に対するバッシングでも行き過ぎと思うことはたまにありますが。タクシーでビールをもらうことくらい,別に問題ではないと思いますし。)

日本を動かしているのは,与党,高級官僚,高級公務員,また,さらに後ろで糸を引いている財界などであり,末端の公務員は単なる労働者です。
確かに,その労働条件は民間の多くと比べて恵まれている面もあり,それに甘えている公務員もある程度存在するのだと思います。

しかし,民間労働者の最低労働条件を規定する労働基準法に照らして,ぎりぎり合致している程度であり,大きく上回るものではないと思います。
つまり,目指すべき労働者の姿に比較的近いものではないでしょうか。
労働権の制約を受けており,民間よりも恵まれない部分もあります。

日本人は勤勉を美徳とします。これは良いことだと思います。しかし,先人が,戦乱の世を乗り越え,近代化を乗り越え,悲惨な敗戦を乗り越え,高度成長期を経て,やっとたどり着いた,一応「先進国」と呼ばれる今のわが国です。
庶民が,自らの生活に汲々としてジャングルに生きる野生動物のように暮らすのではなく,精神的にゆとりを持って文明社会の一員として果たすべき役割を果たすという意識を高く持って暮らすような,そんな国である資格はあるのではないかと思います。
勤勉さは,そのような働き方の中で発揮するべきではないでしょうか。

そのような働き方をするためには,しっかりとした労働条件の整備が前提となるでしょう。
公務員の労働条件は,そうした視点からは,決して必要以上に恵まれたものとは思えません。これを批判することは,より劣悪な民間の労働条件を正当化することになってしまいます。今,労働基準法に厳密に照らして,全く問題のない企業がどれほどあるでしょうか。
ただ,すべてが劣悪なわけではなく,一部には寡占や庶民の足下を見た商法などにより不当とも思われる条件の企業もあるようです。

そのような「勝ち組」企業を含めて,社会では「持てる者,取る者」が力を強める一方,「持たざる者,取られる者」はどんどん弱くなり,格差社会化が進行しています。

公務員も,「削減」を掲げて末端公務員の数を減らし,給料も減らし,高級官僚,高級公務員は末端にしわ寄せしながら自らの地位は手放そうとしていないでしょう。せいぜい,早めに天下りする程度でしょう。
全てが天下り先かどうかしりませんが,各省庁の所管法人は山ほどあります。
例えば,国交省道路局所管法人厚労相健康局所管法人農水省生産局所管法人,のようにわけの分からない団体も多く見られます。大阪府でも,所管公益法人は約900もあります。末端公務員の給料や働きぶりよりも,これらの方がよほど害が大きいのではないでしょうか。

政府や自治体としては,一部の高級官僚・公務員の高給を維持し,上記の法人のような天下り先を温存できれば,末端公務員を安く使い捨てられるのは望むところでしょう。
そして民間の経営者は,公務員の労働条件が低下すれば,自らの従業員の労働条件を切り下げるお墨付きをもらえたようなものです。

始めに書いたように,私も,末端公務員にも批判されるべき点は多々あると思います。
しかし,私や私の友人が,その家族が,そしてその子供達が,またその子供達が幸せに暮らすために今為すべき事として,公務員を責めることの優先順位はかなり低いと思いますし,批判すべき相手として優先順位の高い者達を利することにしかならないと思うのです。

私は技術系の人間ですので,せっかくこんなに科学技術が発展したのだから,社会の隅々の人までもっと心豊かに暮らして欲しいと思うのです。そうでないと働き甲斐がありませんから。

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コメント

組合関係者や共産党関連の者と話すと、決まって言われるのが、公務員の賃金を下げると民間も下がるという物ですが、これは公務員の賃下げを否定する為に都合よく理屈付けされた全くのデタラメです。
何故なら、民間では賃金体系を決める時に公務員の給与体系なんて、参考にはしないからです。
また、現代の市場競争にさらされている民間労働者の給与は、最終的には消費者が決める物でしかないのです。(ある意味労働者の敵は、消費者とも言える)
それに公務員給与を擁護する方は、忘れていると思いますが、誰でも出来るような地方公務員の仕事内容であれば、1千万の人材一人よりも500万の人材2人を雇う方がサービスも景気も確実に向上します。(大阪府であれば800万円の人材1人よりも、400万円の人材2人)

投稿: 仮)山田二郎 | 2008年6月23日 (月) 21時59分

連投です。

天下りや不要施設の建設などを高級官僚や一部の公務員の問題とするのも問題ですよ。
なぜなら、天下りや不要施設建設による利権の恩恵を受けているのは、末端公務員も同じであるからです。

投稿: 仮)山田二郎 | 2008年6月23日 (月) 22時12分

仮)山田二郎 さん,こんばんは。

> 何故なら、民間では賃金体系を決める時に公務員の給与体系なんて、参考にはしないからです。

その根拠は何でしょうか。
例えば,
http://tutida.livedoor.biz/archives/cat_868327.html
http://www.j-management.com/hospital/4f.html
などの情報からは,私立病院,私立学校では人勧準拠が多く,民間企業でもある程度以上,人勧準拠が行われていることが伺えます。
さらに,「公務員賃金が下がった」という情報は,民間労働者に「自分たちの給料が下がるのも仕方ない」と思わせる効果があるとも思います。

> また、現代の市場競争にさらされている民間労働者の給与は、最終的には消費者が決める物でしかないのです。

街中の商店でもなければ,そんなにシンプルに決まるものではないでしょう。

> 誰でも出来るような地方公務員の仕事内容であれば、1千万の人材一人よりも500万の人材2人を雇う方がサービスも景気も確実に向上します。(大阪府であれば800万円の人材1人よりも、400万円の人材2人)

「誰でも出来るような仕事」とは,大阪府職員の中の,どのような職種のことを指しておられるのでしょうか。
ちなみに,大阪府職員の賃金体系は,
http://www.pref.osaka.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k2010227001.html#b17
のようになっています。
どのような学歴のどの程度の年齢の人がどのクラスの給料をもらうのかは知りませんが,高卒で初任給は1級9号,すなわち144,500円です。
これから推測するに,年収800万円の職員は,「誰でも出来る」ということはない仕事をしていると思われます。
また,「半分の給料で2人雇った方が企業にとって都合が良い」という状況は,民間でも全国至る所で見られるものだと思われます。

> 天下りや不要施設建設による利権の恩恵を受けているのは、末端公務員も同じであるからです。

どういう意味で「同じ」と仰っているのかよくわかりません。
退職した高級公務員が路頭に迷おうと,予算が適切に執行されて必要な施設のみが建設されようと,末端公務員にはほとんど影響はないように思いますが。

投稿: WontBeLong | 2008年6月23日 (月) 23時09分

>>私立病院,私立学校では人勧準拠が多く,民間企業でもある程度以上,人勧準拠が行われていることが伺えます。

これは、規制業種であるから参考にするのは間違っていますよ。それに元々人観準拠が基準ではなく、人観の元になった民間企業準拠でしかありません。

>>「公務員賃金が下がった」という情報は,民間労働者に「自分たちの給料が下がるのも仕方ない」と思わせる効果があるとも思います。

どういう理屈で思うか知りたいぐらいです。上記の人観準拠にもいえますが、経営者から見れば労働者の給料は、公務員が高いか低いかではなく、望むべき人材が出せる範囲でいくらでなら来てくれるかが基準になります。(今から考えたら馬鹿らしいが、バブルの頃なんかキーボード叩いて時給3000円、お茶くみOLの夏のボーナス200万なんてね)

>>街中の商店でもなければ,そんなにシンプルに決まるものではないでしょう。

これは誤解を生む表現でしたね。完全競争の元では、あくまでも消費者が対価として払って良い価格でしか物もサービスも売れませんので、労働者の能力や仕事の質とは関係なく、企業の利益は最小化されていきます。よって、最終的に消費者が賃金を決めてしまうという事です。

>>「誰でも出来るような仕事」
国家資格(規制)などの関連しない仕事をさします。(警察官ですら特殊な仕事とは、言い難い)
また、学歴で給与が幾らになるかを考えるのは、おかしいですよ。ペーペーの頃ならともかく、あくまでも本人が幾ら利益をあげれるかで決まるものです。


>>「半分の給料で2人雇った方が企業にとって都合が良い」という状況は,民間でも全国至る所で見られるものだと思われます。

当然、民間でも誰でも出来る仕事でなら、そうした方が基本的に効率的です。

>>退職した高級公務員が路頭に迷おうと,予算が適切に執行されて必要な施設のみが建設されようと,末端公務員にはほとんど影響はないように思いますが。

しっかり影響します。もともと御手盛りの給与体系や手当てなんてのは、高給公務員の利権を維持する為のおこぼれみたいなものですからね。
不要な施設を作れば作るほど、高給公務員だけでなく末端の公務員にも管理ポストや退職後の再就職先が、しっかりと用意されていきます。もしくは、出世しやすくなったりね。(ここに政治家や得手勝手な有権者らも絡んで正当化されるので性質が悪い)
不要な施設建設を内部告発したり、天下り財団のカラクリが内部告発されないのは、不思議だと思いませんか?
組織が自己肥大化していくのは、民間でも同じですが、公的組織の場合は、歯止めが利きませんので破綻するまでひたすら自己肥大化してしまいます。

投稿: 仮)山田二郎 | 2008年6月24日 (火) 00時18分

仮)山田二郎 さん,こんばんは。

> これは、規制業種であるから参考にするのは間違っていますよ。それに元々人観準拠が基準ではなく、人観の元になった民間企業準拠でしかありません。

規制業種でも,厚労省の
賃金構造基本統計調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z07/index.html
のような,民間企業の賃金に関するデータには含まれ,こういったデータが企業の賃金決定の参考にされる以上,影響はあるのではないでしょうか。
とはいえ,
平成19年賃金引上げ等の実態に関する調査結果の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/07/kekka.html#08
を見ると,総体的に企業は公務員給与を気にかけていないようでもあります。

>>「公務員賃金が下がった」という情報は,民間労働者に「自分たちの給料が下がるのも仕方ない」と思わせる効果があるとも思います。

> どういう理屈で思うか知りたいぐらいです。上記の人観準拠にもいえますが、経営者から見れば労働者の給料は、公務員が高いか低いかではなく、望むべき人材が出せる範囲でいくらでなら来てくれるかが基準になります。

これは理屈ではなく人の情として,あるとは思います。それと,揚げ足を取るようで申し訳ないですが,公務員賃金が低いほど「望むべき人材」が来てくれる額も低くできるのではないでしょうか。景気と公務員人気が連動するんですから。

> 国家資格(規制)などの関連しない仕事をさします。(警察官ですら特殊な仕事とは、言い難い)

それは厳しすぎるでしょう(笑。そうだとすると,平均賃金はとんでもなく低くなってしまいます。
あと,関係ない話ですが,私は警察官を含めて,「命がけ」の仕事をしている人たちを非常に尊敬します。

> また、学歴で給与が幾らになるかを考えるのは、おかしいですよ。ペーペーの頃ならともかく、あくまでも本人が幾ら利益をあげれるかで決まるものです。

業績を客観的に評価するのは極めて困難な場合が多いですから,学歴というのはなかなか便利な物差しだとは思います。まあ,私がどう考えるかに関わらず,近年はかなり変化してきてはいますが,まだまだ日本は学歴社会ですし。

> 当然、民間でも誰でも出来る仕事でなら、そうした方が基本的に効率的です。

しかし,「そうする」企業は多くはないでしょう。

> 不要な施設を作れば作るほど、高給公務員だけでなく末端の公務員にも管理ポストや退職後の再就職先が、しっかりと用意されていきます。もしくは、出世しやすくなったりね。

そうなんですか。その辺は私はよく知りません。
そうだとしても,あくまで「おこぼれ」であって,例えば公務員の労組が「もっと施設を作れ」とか「関係団体を増やせ」とか言っているわけではないでしょう。「内部告発」は,たとえおかしいと思っていても,職を辞める覚悟でもないと,そう簡単にできるものではありませんし。

いずれにしても,末端の公務員に,仮)山田二郎 さんの仰るような悪い面があったとしても,それを寄ってたかってバッシングすることが社会を改善するためにそれほど効果が大きいこととは思えません。
少数の人間でこの国を牛耳ろうとする,若しくは私利私欲を満たすことだけを考える者達を利する効果の方が遥かに大きいと思います。

投稿: WontBeLong | 2008年6月24日 (火) 23時43分

では最後に、先日の府労連の交渉で発せられた言葉です。

「まだ破綻(実態はすでに破綻)していないのだから給与は維持できる。」
「減債基金に再度手を付ければ、給与の原資はある。」
「国から財源とってこい」

さて、これらの言葉を発した上、恥じ入る事も無く自身のHPで堂々と動画を公開している方々をどう思われますか。
私には戦後の間違った左翼教育が育んだ、悪性のウィルスとしか思えません。

投稿: 仮)山田二郎 | 2008年6月25日 (水) 23時26分

仮)山田二郎 さん,こんばんは。

それらは「発せられた言葉」ではなく,「発せられた言葉を誰かの判断で要約したもの」ですよね。
ですから,大阪府職労は,正確なやり取りを知って欲しくて動画を公開しているのではないかと思います。

例えば,「まだ破綻していない」の実際のやり取りは,「財政再建団体よりもかなり軽い状態の早期健全化団体になる実質公債費比率25%になるのさえ8年後という予想なのだから,拙速に人件費に手を付ける段階ではない」という内容ですから,随分と悪意のある要約だと思います。

「国から財源とってこい」に至っては,ほとんどねじ曲げられた要約ですね。

橋下知事は交渉で,決定根拠のデータを示せとの要求などに対して「政策判断だ」を繰り返しています。また,25日の報道ステーションで,「公務員が率先して給料を減らせば,府民,国民は付いてくる」という精神論を述べていました。
要するに,人件費削減案は,客観的なデータ解析に基づくものではなく,橋下知事の個人的な「直感・信念」に基づくものだということです。

交渉の様子を見ていると,橋下知事はやはりコメンテーターから脱してはいないように見受けられます。弱冠38才のリーダーにあのように他人事のように振る舞われたのでは,とても部下は付いていく気になれないと思います。

あと,交渉や報ステを見ると,彼は,知事選や国政選挙に民意が正確に反映されているという幻想を本気で持っているようでしたので,コメンテーターとしても世間知らず過ぎてどうかと思いました。若しくは,「このような政治家を選んだ府民,国民が愚かなのだからあきらめよ」ということでしょうか。

いずれにしても,一般的な日本の労働者は大人しすぎるでしょう。給料15%カットを提案されれば,夜を徹した交渉くらいは当然しなければ,労組の存在意義がないでしょう。

私も「悪性のウィルス」に冒されているのかも知れませんが,この場合,「悪性」か「良性」かは人によって判断が異なると思います。

投稿: WontBeLong | 2008年6月26日 (木) 01時54分

ちゃんと動画みましたか?
切り抜きではあっても、そのまま書かしてもらっていますよ。

あと、わざとスルーしているのかもしれませんが、減債基金に手を付けて財政再建団体になるのを誤魔化しているだけなのわかって、破綻は8年後なんてのを信じているのですか?

>>いずれにしても,一般的な日本の労働者は大人しすぎるでしょう。給料15%カットを提案されれば,夜を徹した交渉くらいは当然しなければ,労組の存在意義がないでしょう。

それは正規の府職員にはあたりません。もともと仕事内容に対して多すぎる給与が削られて正常化していく過程なだけですから。というか、今まで少しづつでも下げなきゃいけなかったた分を先延ばしにしていた為に、一度に下げられるハメになっただけの事です。(まあ、これは今までの知事や府議会・労組の怠慢に一番の責任があるが)

あなたが府職労員でなければ、彼らと同じ考えであっても、府民や国民にとっては悪性ウィルスとは言えないです。何故なら、あなたが彼らと同じ考えを持っていたとしても、国や府を破綻させる立場ではありませんから。

投稿: 仮)山田二郎 | 2008年6月26日 (木) 15時40分

参考までに

http://www.pref.osaka.jp/zaisei/joukyou/06kikin/suii.html

投稿: 仮)山田二郎 | 2008年6月26日 (木) 21時02分

仮)山田二郎 さん,こんばんは。
すみません,隅々までは見ていません。
結構長い動画で,話の流れを見る程度に飛ばしながら見ましたので,どこでご紹介になった「言葉」が発せられたのかわかりませんでした。
これらの「言葉」を他でも見たように勘違いしていましたので,飛ばし見しながら,「この辺のことを表してるんだな」と勝手に思ってしまいました。
文脈としては府職労側の言い分は理解できますが,「手を付ける」,「取ってこい」などは,大人げない物言いではありますね。

「8年」の件は,知事も直接的には否定していませんし,人によって見解の異なるところかと思います。

投稿: WontBeLong | 2008年6月26日 (木) 21時44分

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